④で足を上げたときに、少しねじりが入るが、そのときのヒザから下の動きを見れば、かかとが投手方向を向き、力が溜められているのがよくわかる。その間、上体はといえば、ほとんど変わっていない。足だけが動いている感じで、ここに安定感を見ることができる。⑨の形など最高だ。ステップした右足とグリップとが引き合うような形で美しい。まさにこれからポールを呼び込んで打とうとする"待ちの姿勢"ができている。この形ができれば、なかなか崩れない。コースにも高さにも対応できるいい姿勢だ。坪井が今年打撃の好調さを保ったのも、これを見ればわかる。　阪神でいいスタートを切った坪井は、ケガもあって出番が少なくなり、今年日本ハムに移籍した。イチローばりの振り子打法で、阪神では一、二番打者として出場することが多かったが、意外に足での見せ場がなかったことや、独特なその打法についていろいろと口を挟む人がいて、その意味では日本ハムへ移ってきたことは、のびのびとプレーできる環境を得たと考えれば、坪井にとっても良かったんじゃないかと思う。 　構え方も良くなった。ヒザに余裕を持たせ、足の裏が地面に落ち着いて、どっしりとした構えとなっている。阪神時代は落ち着きがなく、なんとなく"すわり"が悪かったが、ここでどっしりとした姿勢を作ることができているから、投手との間に、うまく"間"を作ることができるのだ。足の振り上げは、以前とそれほど変わったようには思わないが、感覚として、ずいぶんタイミングの取り方がうまくなったと思える。坪井のように足を大きく振り上げる人にとっては、ここの"間"の取り方は大事で、ここで安定性がないと、打撃もそのまま安定感のないものになりがちだ。 坪井　智哉 どっしりした構えで 　安定した振り子打法 　　　　　　　　　解説・谷沢健一
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