最初、金村がデビューした頃、いいピッチャーが出てきたなという印象を持った。足をまっすぐ高く上げて、ごく自然に体重移動、左足に体重が乗ったところで、前でピュッという感じでボールを放っていた。これは、バッターは打ちにくいだろうな、という印象があったのだ。スピードそのものよりもキレを感じるピッチングだった。その後、肩を痛めたせいでもあるのだろうが、この体重移動がうまくいかなくなってしまったのが、最近の金村のピッチングといえる。 　左足を上げたところまでは問題はない。このまま、ここから体重移動をすればいいのだが、いったん足を下ろしてから、体重移動を始めるというスタイルに変わっている。それでも、正しく体重移動ができていればいいのだが、実際にはタイミングが遅れ、うまく体重移動ができていない。 　結果として頭が後ろに残って、体だけを倒して投げるというスタイルになっているのだ。⑨⑩のところなど、足の内側の力は使えていないし、上半身、両腕も伸びきっている。上半身は早く開き、力のロスが大きなものになっている。これで金村本来の、つまり私が金村の一軍デビュー当時に感じたいいイメージがなくなってしまっている。 　⑦では、ヒザやつま先が早く捕手方向を向かないと投げられないという格好になる。体の開きがどうしても早くなってしまう。足を下ろしてから体重移動をするのではなく、体重移動しながら上げていた足を下ろしていく感覚をもう一度思い出して欲しい。昨年、一年間ローテーを守ってニケタ勝利を挙げたといっても、今のままではそれは長続きしないと思う。 　私も経験があるが、肩を痛めると思い切った腕の振りが出来なくなったりするものだが、まだ若いし、今のうちにもう一度「いいとき」に戻す努力をしてもらいたいものだと思っている。 金村　暁 体重移動が不十分で 　　　　　力のロスが大きい 　　　　　　　　　　　　解説・牛島和彦
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