長い故障から立ち直って、今シーズン再び一軍のマウンドに立った山原。以前はチームでも一・二を争う速球を持ち味としていたが、故障の影響もあってか復帰後は、さすがに以前の球威はなさそうである。 　ただ以前、ポールは速いがコントロールに自信がなかったせいか、コントロールを気にした動きが見られる。それは⑨の体が早く開いてしまうところである。腕の送りにタイミングがついていけず、体だけ早く左足に重心を動かそうとしているが、結果的に腕の送りが追いつかず、それをごまかすために、開きだけが早くなるという悪循環。重心はこの時もまだ右足のほうに残っている印象さえ受ける。これは恐らく球威でなく、コントロールをつけようとし過ぎた弊害だと思う。 　故障上がりというせいもあるかもしれない。故障した選手というのは、どこか投げ方に逃げ道を作ってしまう。山原の場合はそれが、この場面に顔をのぞかせているといえそうだ。 　重心移動が不十分だったためか、故障をかばうためか、⑭では右肩の回転が止まり、フォロースルーがまったくと言っていいほどとられていない。普通は投げ終わった後、ボールを右肩越しに見るようになるくらい体ごと回転しているものだが、山原はここで完全に動きが止まっている。 　体の開きを止めるには⑥のところで前方向への動きをもう少しこらえて、右足に重心を溜めておきたい。そこで重心を右足に残したまま右手をゆっくり大きく振ることができれば、球威も増すし、体の開きを抑えることもできるはずである。 山原　和敏 制球を重視しすぎて 　体の開きが早くなる 　　　　　　　　　　　解説・杉下茂
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送