春先は出遅れたものの、夏場からローテーション入りして8勝をあげ、先発投手としての地位を固めつつある佐藤誠。連続写真を見ても、とくに大きな欠点はないが、好不調の波が大きくなりやすい投げ方だなという感じがする。というのは、「体全体を使って、大きな流れの中で投げる」というよりも、「体の各部の小さな動きを組み合わせて投げる」というタイプだからだ。それだけ器用だともいえるが、一つタイミングがすれても、調子が崩れる危険がある。
 すべてはDからEのところで腰が折れてくるところに始まる。Fなど、まるでアンダースロー投手のような形で、どうやって右手を上げてくるか苦労しているようにさえ見受けられるが、腰を折ることで、まず上体を起こしてくるタイミングが難しくなるし、どうしても上半身をあおるような形になって、タマが高めに浮き気味になりがちだ。
 さらに、下半身の先行に上体がついていかなくなり、それをカバーするために、左肩を開いて投げざるを得なくなる。本来は、前足が着地するHのときにFぐらいの左肩の開きになるようにしたいところだ。Jのリリースでも、腕を振り切るというより、手を体の動きに何とか合わせようという振りになっており、このあたりにも微妙なタイミングに気を使っている感じがうかがえる。
 もう一つ、このフォームで気になるのは、打者に目を向けるのが遅いことだ。@のあと、A〜Cと打者から目を離し、次に打者を見るのは、やっとDになってからである。いったん打者から目を離すこと自体は、無用な力みを取ったり、集中力を増す効果があるので、そうした方が投げやすいタイプの投手なら一向にかまわないのだが、Dで初めて打者を見たのでは、たとえそこで打者の狙いに感づいても、もう修正がきかない。せめてBあたりで一度打者の気配を目で確認する必要があるだろう。ゲームは相手があってこそ成り立つもの。そこを再認識すれば、もうひと皮むけてくるだろう。 佐藤 誠一
微妙なタイミングを
  要する器用な投げ方
             解説・杉下茂
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