こうして改めて写真を見るにつけ、なるほど西崎が新人離れした活躍を残せるはすだ、と感心してしまった。私はノーワインドアップ投法というのは、決して好きではないが、そういう個人的な嗜好を除けば、ほぼ理想的といってもいいだろう。
 真っ先に目についたのはHIの胸の張りである。むかしから、両背中の健康骨がくっつくくらいに胸を張れといわれてきたが、西崎にはそれができている。これだけをとってみても、西崎が球威あるボールを投げられるのは当然であるといえるだろう。Fのときに、これだけ腰の線に開きのないピッチャーもそうはいない。スパイクの底が打者の方を向き、腰が入ったまま力がたまっている状態。こういう躍動感あふれるフォームを他の若い投手は見習わなくてはなるまい。
 さらに、DからIまで、上半身の動きがほとんどないままで、下半身が伸びていく点もほれぼれするくらいだ。腰を中心としたラインがしっかりして、足が前方へ伸び、腕はバックスイングをスムーズに行っている。これは口でいうのは簡単でも、実際にやってみると非常に難しい。これが理由で頭の位置も全くブレないし、球威はもちろんのこと、コントロールもそこそこにいいのもわかるような気がする。
 欲をいえば、右腕のトップを型作るのが、ほんの1タイミング早いような気もずるが、この程度のタイミングのズレは大なり小なり誰にでもあることで、さして問題にするものでもあるまい。細かなことになるが、写真を見る限りでは、D以降でやっと歯をくいしばっている表情が見られる、これも最初から力が入っていないという証明で、望ましいことだ。
 昨年の新人王は、十分に手にできるだけの数字を残しながら、阿波野という強力なライバルがいて、惜しくも逸した。しかし、西崎の評価はこれで一向に下がるものではないし、こういう投球を続けていけば、今後さらに大きなタイトルを手にすることも可能であると思う。 西崎 幸広
ホレボレするような
    胸の張りが速球の因
              解説・杉下茂
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