その体のバネとファイトを買って高田監督が1年目から一軍に抜てきしている田中、不安定な守備に目をつぶってもと、チャンスをもらっているが、残念ながら期待されたバッティングの方でも粗さが目立ち、実績を残しているとはいえない。成績が上がってこないのは、ひとことでいって正しい打ち方をしていないからで、なによりもそれを身につけていくことが必要だろう。連続写真を見ながら、順を追って解説していこう。
 @は柔らかい構え方でいい。しかし、バックスイングが始まるAでは、グリップを体の前に出してタイミングをとっている。ここではバットをうしろに引いていかなければならない。Cからやっとグリップを後方に引いていくが、このとき、左足のふみ出しに従って徐々に上がってこなければならないグリップが、お腹のあたりの高さのままで一向に上がってこない。
 結局、下からすくい上げないと打てなくなり、ボールに対してどうしてもつまり気味になる。フォロースルーでも、うしろ足に体重が残ってしまい、そっくり返った振り方だ。酷ないい方かもしれないが、これは理屈に合わない打ち方だ。せっかくの好素材も、基本に反した打ち方では伸びてこない。理屈に合わない打ち方を続けていては、いくら練習をしても成果はでてこないだろう。
 @Aのあたりではグリップが低くても構わないが、CからEにかけて、右肩の高さまでグリップを上げる。そして腰の回転を利用しながらバットを引きおろして、ダウンスイングで、ボールを最短距離で捕える。これが基本である。
 まだ2年目と若い田中、体に備わった素質という点では確かに素晴らしいものがある。だからこそ、今のうちに欠点克服に全力をあげ、正しい打撃をしっかりと身につけるべきだ。そうしないと進歩につながらない。昨今は、こうした連続写真やVTRを見て工夫することはいくらでもできる。練習を積み重ねて、どうかその才能を開花させてもらいたい。 田中 幸雄
グリップが下がった
   ままの粗いスイング
           解説・川上哲治
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