今季も代打の切り札として活躍している井上だが、以前私は彼のフォームを直すようにと指摘したことがある。以前はバットの先が投手方向に倒れ、スイングが遠回りになり正確さにも欠けていた。しかしこうして見ると大分直ってきたようである。 　連続写真を見てみよう。①は構え。今説明したように、バットの先を立ててゆったりとした構えになっている。 　②でバックスイングが始まり、③で前足を浮かせ重心を後ろ足に移動している。④では完全な一本足打法のフォームになっている。ただし上体、腕が窮屈だ。 　⑤では前足を踏み出しているところ。この時グリップの位置が下がったままだが、本来ならば上がってこなければならない。これでは内角の速球に対しては振りにくく、⑨のようにバットの先が下がってしまう。 　このため⑫のフォロースルーでは右手を離さなければならなくなってしまう。 　前足を踏み出す時に、グリップの位置を高く上げるという気持ちを、もう少しでいいから持てばグッと良くなるだろう。グリップの位置を左肩と同じくらいの高さに置いて球をとらえるというフォームを目指してもらいたい。そして両脇を、上半身に力が入らない程度に締めれば、ボックス内での余裕も出てくるだろう。これからの尚一層の活躍を期待している。 井上　弘昭 グリップを上げれば 楽なスイングになる 　　　　　　解説・川上哲治
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