高橋直投手のもっとも大きな特徴は②～③にかけての時間が一般的に非常に長く感じることである。実際はそうでない時もかなりあるのだが、このあたりの駆け引きに高橋直投手の頭のシャープさと神経の細やかさが浮き彫りにされている。続いての特徴といえば、④～⑥の独特のポーズであろうか。お尻を打者の方へピョコンと突き出し、重心を落として思い切って両腕を手長猿のように下げてゆく⑤。もちろんその間の④に代表される左足の鋭角的な上げ方など、さながら胸を突き上げるようである。バッターボックスの打者にとっては、非常に気になるであろう。 　締めくくりの特徴といったら⑦をあげたい。中天を指すように引き上げられた右腕は⑤で両腕がダラリと下げられた反動を示すかのように、本当に勢いが良い。ここで読者の皆さんにとくとご覧いただきたいのは、この右腕と踏み出された左足の線が一本の斜線で結ばれているように、見事なバランスを作り上げていることである。 　その投手のコントロールが良いかどうか、いやもっと極端にいってそのときの投球がどうであるかは、九分九厘が⑦の時点のフォーム次第で決まってしまうものだ。そこで一言で結論をいうなら、高橋直投手は「投手としての大切な財産を備えた投手」である。しかも⑦の時点で重心がしっかりと後ろ足に残っている感じに逞しさがみえる。 　⑧では腰の戻りと同じようなテンポで両肩が戻ってくるのはいささか物足りない気もするが、速球を身上とする投手ではないのだから止むを得ないといえよう。 　⑨～⑫のリリースからフィニッシュにかけては、その容貌通りおとなしい。静→動→静の組み合わせが基軸になっている投手である
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