長身を上手く生かしたフォームからは、取り立てて言う程の欠点がない本格派ピッチャーといえる。大洋に2年いて芽が出ず、パ・リーグに移って頭角をあらわし今や日本ハムのエース的存在である。オールスター戦に出場したが、こういう投手が再びセに移ればさらに活躍できそうだ。
 右足の振り上げから胸の張り、ステップに至るまで申し分ないフォーム。BからDまでの右足の上がり具合は、長身だから打者に与える威圧感は相当なものを感じさせる。ただFのときにボールを握った手首が打者に丸見えになるのではないか。ボールの縫い目にどういうふうに指をかけているかを打者に知られてしまうのはまずい。ボールの握り一つで打者は投手の次の球を予知して対応策を講じるからだ。Gの踏み出した左足のステップの広さといいHの胸の張りは満点といえる。
 ただフォロースルーの段階で腰が後方に残り加減が気にかかる。これはステップの幅が広すぎるからではなく、右足の蹴りが弱いからだろう。重心をもう少し前方に出せばさらに球の伸びがつくに違いない。Gまでせっかく理想的なフォームでありながら、フィニッシュになって多少の乱れが生じるのは腰から下に問題があるのではないか。ことにヒザの使い方を工夫すれば、球が高めに行ったりいわゆる軽い球がとび出したりすることがなくなるだろう。
 もう一つ。投げ終わったあとIからKの間に、左手のグラブが思い切りよく後ろへ伸びているのはどうか。上半身のバネを利かしているのだろうが、グラブは左胸に抱え込むようにした方が、コントロールの"ぶれ"を防ぐことができる。力のピッチング、今シーズン13勝したがこのように当分は小手先の細工を考えずに、体全体を使って本格的な投球を続けて欲しいと思う。 野村 収
体全部を使って
    本格的な投球を
            解説・村山実
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